筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome, ME/CFS)とは健康だった人が突然原因不明の激しい全身倦怠感におそわれる病気です。
強度の疲労感とともに、微熱・頭痛・筋肉痛・脱力感・思考力の障害などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなります。
また以下のような困難に直面しています。
■一般的な検査では異常がみつからず、発見や治療が遅れて重症化することがあります。
■患者の約3割は寝たきりかそれに近い状態で介助が必要です。
■こどもの場合は学校に行けなくなることもあり、学習面などでのサポートが必要です。
■専門医がほとんどおらず、治療方法も確立していない難病です。
■指定難病に認定されておらず、生きるために必要な社会的支援を受けることができずに困っている患者がいます。
■病気の深刻さを理解されずに苦しんでいる患者がいます。
国内の推定患者数は8~24万人と言われています。平均発症年齢は32歳で、働き盛り・子育て世代における発症が多く、また未成年での発症も20%近くいます。社会を支える若い世代が就学・就労の機会を失い、社会保障の網からもこぼれ落ちている、これが慢性疲労症候群の患者が置かれている状況です。この実態は早急にひろく認識され、適切な対応へとつないでいかなければなりません。
近年では、アメリカの米国医学研究所(IOM/現 全米医学アカデミー,NAM)が2015年2月に、ME/CFSは深刻な衰弱性の疾患であり、複雑・多系統でしばしば壊滅的な障害をもたらす疾患であるとし、新たな診断基準、中核症状などの発表とともに、公的な理解と、原因やメカニズム、効果的な診断・治療のための研究が急務であることを発表しました(*1)
米国国立衛生研究所(NIH)、米国疾病予防センター(CDC)に加えて各国に影響を与え、神経、免疫、代謝、内分泌など、さまざまな観点で研究や議論がすすめられています。
日本においてもME/CFSの研究がすすめられ、進展のきざしは見えつつあります。しかし研究途上であり、診断・治療にきちんと結びつけるには、患者が発信しなければならない状況が続いています。
(*1)米国医学研究所(Institute of Medicine, IOM)のME/CFS診断基準,臨床医のためのガイド(2015年2月)
2021年5月に開催したオンラインセミナー
「きちんと知りたい ME/CFS」筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の
事前質問に対しての三羽先生の解答 の一覧はこちらになります。
参考に、是非にお読みください。
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